WHAT'S NEW ニュース&トピックス

news2019.12.07

「パリ世紀末ベル・エポックに咲いた華 サラ・ベルナールの世界展」 (会期中展示替えあり) が本日開幕しました!

フランス出身の女優、サラ・ベルナール(1844‐1923) は 、ある時は劇場経営者や彫刻家として、またある時は若き芸術家のパトロンとして多彩に活躍し、19世紀末から20世紀初頭にかけてのアール・ヌーヴォーの発展に深く関わった人物でした。
中でも、 サラが画家アルフォンス・ミュシャ(1860‐1939)や宝飾デザイナーのルネ・ラリック(1860‐1945)などの活動を庇護したことは有名で、本展覧会でも数多くのミュシャやラリックの作品がお目見えしています。

本展は、 サラの人生を当時の貴重な写真や肖像画、舞台衣装や装飾品のほか、ミュシャやラリックによる作品をもとに通覧する日本初の展覧会です。

昨年度から全国7館を巡回してきた本展覧会も、いよいよ当館で最後となります。他館では今まで展示されてこなかった作品もありますので、この機会をお見逃しなく!


2階展示室:サラの姿を今に伝える写真や肖像画をはじめ、彼女が実際に身につけたドレスやアクセサリーが並びます。

地下1階展示室:ミュシャやラリックの作品、ポスターや絵画、工芸の数々が並びます。100年以上前、ベル・エポック全盛期の美しい色彩に心打たれます。

news2019.11.24

11月24日(日)をもちまして「日本・東洋 美のたからばこ ~和泉市久保惣記念美術館の名品」展は閉幕しました。
本展にお越し頂きました皆様、またご関心をお寄せ頂きました皆様に、心より感謝を申し上げます。
誠にありがとうございました。

次回、12月7日(土)から「パリ世紀末ベル・エポックに咲いた華 サラ・ベルナールの世界展」を開催いたします。
本展では、フランス出身の大女優サラ・ベルナールの人生を、貴重な写真や肖像画、舞台衣装や宝飾品によって通覧します。彼女が活動を庇護した、アルフォンス・ミュシャやルネ・ラリックの作品も必見です。
ぜひ、この機会にご来館ください!

news2019.11.22

名品こだわり解説③《麻の木図・蔡女仙図・綿の木図》

松村景文《麻の木図・蔡女仙図・綿の木図》

江戸(19世紀) 和泉市久保惣記念美術館蔵

《麻の木図》 (部分)

《綿の木図》部分

江戸時代、京都で活躍した松村景文(1779~1843)の三幅対の作品です。

中央は蔡女仙という刺繍を得意とした仙女、右に麻の木、左に綿の木を描いています。よくみると麻の木にはトンボ、綿の木にはカマキリの姿もみられます。いずれも織物や布にまつわる画題で、綿業を家業とした久保家らしく、久保惣コレクションにはこのように家業に因む画題の作品も時には収集したことがわかります。

news2019.11.21


≪伊勢物語八橋・龍田川屏風≫ 部分:在原業平 右隻 第9段「東下り」 
江戸時代(17世紀) 紙本着色 6曲1双 和泉市久保惣記念美術館蔵

日本画家の木村了子さんが、展示を見に来てくださいました。木村さんとは、 2017年度に 当館で開催した「今様」展以来のご縁です。最近では、新潟県燕市国上の国上寺(こくじょうじ)の「イケメン絵巻」の作者として名前が知られています。

 木村さんは登場人物をイケメン化して日本画を描いていますが、古典文学とイケメンについて展示中の≪伊勢物語八橋・龍田川屏風≫を見ながら立ち話をしました。『伊勢物語』に出てくる在原業平は、数々の浮名を流す王朝人。もとが色男なので、誰にも遠慮することなくイケメン化できます。しかし、主人公以外もイケメン化したら主人公が目立たくなるのでは?という疑問に対し、木村さんは「イケメンの群れ」という概念を導入し、登場人物の総イケメン化が可能だと説明してくれました。今日のアイドルグループのように全員がイケメンというのもアリということのようです。なるほどです。

 もともと物語絵の登場人物の多くは面貌(顔立ち)を「引き目鉤鼻」で表現されており、装束やポーズなどの面貌以外で人物が比定され、ストーリーと重ねあわせて鑑賞するのですから、面貌自体が顕在化される必要も無かったということに改めて思い至りました。面貌は鑑賞者の想像にゆだねるという奥ゆかしい(?)暗黙の決まりごとがあったわけです。

今日、仮に、木村さん流に主人公以外もイケメン化された「イケメン伊勢物語絵」なるものが出現しても、各人の身分や職業が明確なら、物語の理解にさしさわりは無いと思います。面貌の顕在化で人物のキャラクターがより明確になるため、想像をめぐらす余地が少なくなるのはさびしい感じもしますが、「イケメン伊勢物語絵」が出現したらやはり見てみたい気がします。

news2019.11.20

名品こだわり解説②《伊勢物語八橋・龍田川屏風》


≪伊勢物語八橋・龍田川屏風≫ 右隻 第9段「東下り」
江戸時代(17世紀) 紙本着色 6曲1双 和泉市久保惣記念美術館蔵

多くの方々が知っている(と願う)和歌2首に因んだ屏風がこちら。『伊勢物語』の第9段「東下り」と第106段「龍田川」を題材にした場面が各隻に描かれています。

右隻に描かれた場面は、二条后藤原高子(たかいこ)との恋愛が原因で、都を離れ東国へ下る在原業平一行が、三河国八橋(愛知県知立市あたり)という所で美しく咲く燕子花(かきつばた)を見ます。そして、ある人が、“かきつばた”という五文字を句の先頭において、旅の心を歌に詠めと言って、詠まれた歌がこちらです。

「唐衣 着つつなれにし つましあれば はるばる来ぬる 旅をしぞ思ふ」

【歌意】

唐衣を着ているうちに体になじんでくる褄(大まかにいうと着物の前面の腰から下の部分)のように、長い間、馴染んだ妻が都にいるので、はるばるとやって来た旅のわびしさをしみじみと思うことだよ。

『伊勢物語』はフィクションなので、在原業平自体が東下りしたことはないのですが、この歌が業平の作であることは『古今和歌集』を見ると分かります。絵自体は燕子花の生え方が控えめなのが少々気になりますが、八橋という8つに折れ曲がった橋を描くことも大事なのです。板切れを繋いだだけの橋をいかに巧みに表現するかという構図上の工夫が、絵師の腕の見せどころでもあるのです。曲折する橋の周辺に、青い水面を広めにとっているのも、橋を強調するための工夫の一つと言えるでしょう。橋と水面が中央に広く描かれ、人物が端に寄せられているのも八橋が大事なモチーフであることを示しています。


≪伊勢物語八橋・龍田川屏風≫ 左隻 第106段「龍田川」
江戸時代(17世紀) 紙本着色 6曲1双 和泉市久保惣記念美術館蔵

 左隻に描かれたもう一場面は、紅葉の名所、大和国(奈良県)の龍田川で川に流れる紅葉の鮮やかさを歌に詠んだ場面です。百人一首でもおなじみの、

「ちはやぶる神代もきかず竜田川 からくれなゐに水くくるとは」

【歌意】

不思議なことが多かった神代の昔にも聞いたことがない。竜田川が(水面に紅葉が浮いて)あざやかな紅色に水を絞り染めにしているとは。
※「竜田川」は「龍田川」と表記することもある。

この歌も在原業平が詠んだ歌です。『古今和歌集』では、「屏風に描かれた、龍田川に紅葉が流れている様子を題材に詠んだ歌」と但し書きがあり、『伊勢物語』では、「龍田川に出かけ行き、実際に景色を見て詠んだ歌」とも書かれています。川面を布地に、紅葉を深紅の染料にたとえ、川の水を紅葉で染めるとは優雅な発想です。燕子花と紅葉は季節の風物としてよく採用される画題ですが、『伊勢物語』の中からこの2つのテーマを取りあわせた点が秀逸と言えるでしょう。

news2019.11.19

久保惣展・閉幕直前スペシャルイベント!
担当学芸員によるギャラリートークを、明日20日(水)の午後2時より、追加開催します! 展覧会は24日に終了。本展最後のギャラリートークです。 この機会をお見逃しなく!

news2019.11.16

名品こだわり解説:《熊野懐紙》藤原範光 


《熊野懐紙》藤原範光
鎌倉時代 正治2年(1200) 紙本墨書 重要文化財  和泉市久保惣記念美術館蔵

 熊野懐紙とは、熊野詣の道筋の各社で開催された歌会での和歌を懐紙に書き留めたもの。熊野本宮、速玉大社、那智大社の3社を詣でる熊野詣。鎌倉時代の波乱の上皇、後鳥羽院は、生涯で熊野詣を28回行ったといわれます。本作品は、正治2年(1200)12月16日に熊野大社への道筋にある滝尻王子社で催された歌会で、廷臣の藤原範光が詠歌を記したもの。ちなみに京都御所から滝尻王子まで約200㎞強。輿や馬のような乗り物を使用したとしても未舗装の冬の山道を往復で400㎞以上を移動したのですから、イメージに反して後鳥羽院はじめ当時の公家衆たちは、意外と健強だったのかもしれません。

 歌を記した流麗な古筆は名筆の手によるものが多いのですが、歌の「詠み手」と「書き手」が必ずしも同じとは限りません。しかし、その点、「熊野懐紙」はライヴ感が違います。長い旅路で作った歌を作者本人が書いたものだからです。熊野詣大好き上皇に連れまわされた廷臣たちの苦労をしのびつつ、歌意を辿ってみると、

 1首目の「山河水鳥(さんがみずどり)」は、

「山中の河の水が岩を打つ音にも、ハッと目を覚まさないで、どれほど慣れていることか。浮きながら寝ている鴛鴦よ。」

 2首目の「旅宿埋火(りょしゅくうずみび)」は、

「灰の中にうめた炭火のまわりで冬の旅寝をすると、草木が芽ぐんでくる春のようすであるよ。」

という感じです。旧暦では1月1日からは春です。この歌はあと2週間で新春を迎える冬と春の境目をカウントダウンのように読者に伝えてくれます。

 ちなみに京都国立博物館で開催中の「佐竹本三十六歌仙絵と王朝の美」(~11/24)には、熊野詣の主催者である後鳥羽院の同じく正治2年(1200)の「熊野懐紙」が展示中です。期せずして東西で「熊野懐紙」が響きあっております。ぜひ、お見逃しなく。

news2019.11.15

注目作品《名物裂集古鑑》~11/24まで!のこり9日間!

室町時代、中国などから輸入された金襴(きんらん)、緞子(どんす)などの古裂(こぎれ)はとても大切にされました。やがて、茶の湯の流行で、器を入れる仕覆裂(しふくぎれ)や掛軸の表装に使用されるようになりました。 それら貴重な古裂の収集、鑑賞を目的にこのような裂帖が作られることもありました。 本帖は、享和元年(1801)から文化10年(1813)まで13年間にわたり収集した裂をまとめたものです。折帖の裏表、全部で844片が貼りこまれ、パズルのように組み合わされた美しさは、眺めているだけでも楽しいものです。

《名物裂集古鑑》 江戸時代(文化10/1813) 第一次久保惣コレクション 和泉市久保惣記念美術館蔵

news2019.11.15

大阪府和泉市から、 辻宏康市長がご来館され、展覧会をご覧になりました。
同市で開館以来37年親しまれている美術館の名品展。地元の市長でも、国宝や重要文化財を一堂に鑑賞できる機会は多くはないとのこと。
和泉市久保惣記念美術館橋詰副館長のご説明を熱心に聞きながらすべてご覧になっていました。