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新館長からのメッセージ

お知らせ | 2022.04.01

新館長からのメッセージ

松濤美術館は昨年40周年を迎えました。
美術館が開館した40年前(1960~80年代)は、日本が経済成長を基盤に国際化し、世界に向けた開放的な思考が標榜されていた時代で、商業芸術が活発で社会に刺激とパワーを与え街は活気に満ち溢れていました。
そうした文化的背景の中、渋谷区も大きな変貌を遂げ、若者文化にシフトしてエネルギーを発信し続け、今もなお、その熱量のある場所として期待され続けています。

それが、街の個性として定着し進化中ですので、松濤美術館も地域に根ざす美術館として、その一翼を担う存在であるべきだと感じていました。

松濤美術館は誕生以来、多くの実績を積み重ねてきましたが、40周年を機に社会の変化を背景に新たな役割を担うべく再構築する事になり、2月から館長の任を承った次第です。

松濤美術館をブランディングすることを目指します。
「人々が活きる全ての事がアートになり得る」という視点で、多様な創造活動も視野に入れて、自由で楽しい刺激のある美術館にしたいです。
テクノロジーの進化で社会が激変し、経済と合理性が優先され感覚や感性が置き忘れられている現代、人々の生きる根底を脅かされている不安定な時代の中で、文化の源であるアートの存在はとても重要です。美術館がどのような役割を持てるか真摯に向き合っていきたいと思います。

渋谷区の文化的土壌を生かしながら、新しい価値を具現化してメッセージ性のあるものにして届ける美術館にしたい。
区立の小さな美術館だからこそできる、柔軟で、刺激的な個性を作り上げたいと思います。
美術館を熱量のある場所に、
美術館を人々の日常の糧になる存在に、
美術館を時代と呼吸している場所にしたいです。

2022年4月1日
渋谷区立松濤美術館 館長 石岡怜子