雪村

戦国時代のスーパー・エキセントリック

2002年4月2日(火)~2002年5月12日(日)

雪村は水墨画を描いた禅僧である。戦国時代、現在の茨城県や福島県といった東国を中心に活躍した。文化の中心京都から遠く離れた地にありながら、多くの優れた作品を遺している。
中国画のスタイルをまねようとした当時の多くの水墨画家とは違い、雪村は内面にわき出る自己のイマジネーションを、大胆に画面にぶつけている。サブタイトルにスーパー・エキセントリックという強い言葉を冠したが、雪村の個性的な生き方や思想が生み出した表現の独自性を強調したいがためである。その水墨画はけっして過去のものではなく、現代を生きる我々にも、多くのことを訴えかけてくる。
今回の展覧会は四会場を巡回するもので、アメリカに渡ったいくつかの大作の里帰りを含め、内外から、貴重な作品をお借りして、久方ぶりの大規模な展示を実現することができた。各所蔵家の方々に改めて御礼申し上げたい。
本展が行われた2002年春には、水墨画を扱った大きな展覧会が話題をよんだ。京都国立博物館と東京国立博物館で開催された「雪舟展」である。雪舟は言うまでもなく日本美術史上最大のビッグネームであり、その国立博物館での展覧会は注目を集めることが予想されたが、本展はその東京展と重なる時期をあえて選んだ。雪村の一般的な知名度は必ずしも高くはないが、同じ雪の字を名に持つ雪舟展との相乗効果を期待したのである。予想通り雪舟展のカタログを提げた観客も相当数見受けられたが、最終結果を見ても、当館としてはかなり多くの観客を獲得し、カタログ販売も大きな伸びを見せた。あえて雪舟展にぶつけたことが功を奏し、認知度アップにつながったものと考えている。

展覧会情報

会期 2002年4月2日(火)~2002年5月12日(日)
入館料一般300円 小・中学生100円
※65歳以上の方及び障害者の方は無料
※毎週土曜日は小中学生無料
休館日毎週月曜日(祝日の場合は翌日)
主催 渋谷区立松濤美術館
協力 日本航空
企画協力 浅野研究所
展覧会図録

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完売