現代日本の水彩表現

にじみ、ほかし、重ね、線

2002年12月10日(火)~2003年1月26日(日)

にじみや余白の美を紙上に追求した従来の透明水彩の伝統に対して、戦後、油絵具と水彩絵具の両特質を併せ持つ速乾性で堅牢なアクリル樹皮系の水溶性の絵具が開発され、世界中で使用されている。透明水彩絵具、不透明水彩絵具(グワッシュ)、アクリル絵具の使用により、現代の水彩画はかつてないほどの多様な表現と技法を獲得するようになった。
松濤美術館はこれまで、「アメリカの水彩画」、「大正・昭和の水彩画―蒼原会の画家を中心に―」、など水彩画の展覧会を開催してきた。本展は多様な展開を見せる現代日本の水彩画の状況を紹介するものである。現代モダニズム絵画の氾濫の中で、日本における水彩画の紹介や展覧会が非常に少ない点は多々指摘されていたが、現代の水彩画を俯瞰し、紹介した展覧会は皆無といってよい状況であった。
本展は細密描写の写実的水彩画から抽象的水彩画まで幅広い水彩表現の画家の作品を紹介した。紙やキャンバス地に筆などで描く水彩には、にじみ、ぼかし、かすれ、散らし、渇筆、たらしこみ、余白、ドリッピング、透明感、重なり、など水彩ならではの様々な様相と表現と味わいがみられる。その表現は多様で可能性が尽きることはない。今回は特に、水彩画専門の画家の作品にこだわることなく、油彩画家、彫刻家、立体造形作家、インスタレーション作家、版画家などにより製作された従来の因習的な水彩表現に捉われない斬新な水彩作品をも紹介した。
出品作家:野見山暁治、山田正亮、李禹煥、池田満寿夫、榎倉康二、若林奮、根岸芳郎、山口啓介、難波田史男、カジ・ギャスディン、小池隆英、丸山直文、崔恩景、杉山尚子、大浦こころ、土屋文明、舟橋淳司、青柳光枝

展覧会情報

会期 2002年12月10日(火)~2003年1月26日(日)
入館料一般300円 小・中学生100円
※65歳以上の方及び障害者の方は無料
※毎週土曜日は小中学生無料
休館日12月16日(月)・24日(火)・29日(日)-1月3日(金)・6日(月)・14日(火)・20日(月)
主催 渋谷区立松濤美術館
展覧会図録

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完売