合田佐和子 影像

―絵画・オブジェ・写真―

2003年10月14日(火)~2003年11月24日(月・祝)

合田佐和子(昭和15(1940)年生まれ)は高知県の出身で、高校在学中に上京し、武蔵野美術学校(現・武蔵野美術大学)在学時には渋谷区に在住していた。本展は、上京後の初期作品から最新作まで、絵画、デッサン、オブジェ、インスタレーション、立体、写真、本、など多岐にわたる合田佐和子の造形物を一堂に会する、初めての総合的な回顧展である。
これまで約40年にわたり、精力的な制作を続けてきた合田は、現代美術関係画廊などでの発表にとどまらず、ポップカルチャーや映画、演劇、グラフィックデザイン、ファッションといった多様な分野で活躍し、注目されてきた。その活動の多様性は、作家の独自性の一面であるにもかかわらず、従来のカテゴリーに収まりきらないために、作家の全貌はこれまで正当に評価されてきたとは言いがたい。本展は合田佐和子の総合的な作家像を提示し、現代美術の文脈からその仕事を回顧するとともに、現代美術の文脈そのものを再考する機会として、企画された。反芸術、概念芸術、ニューペインティングといった動向、潮流とは別の論理が、合田の作家活動を貫いていることを本展覧により示すことができた。
二つの展示室では、地下一階でエジプト渡航以後の近作を、2階展示室では初期作品を展覧した。モノクローム写真をもとに絵画制作を始めた初期と、写真に鉱物やレンズ光を取り入れてより非物質化を強めていく後期の展開を、対照的な展示方法で陳列することで、作品の世界が影から光へと展開している様子を示そうと試みた。サブタイトルの「影像」は「イメージ」の訳語であるが、合田は写真をことに制作の出発点にしキーポイントのひとつにしているため、ドイツ語の写真「Lightbild」に掛けて、欧文タイトルを造語「Shattenbild」としてみた。
反響としては、雑誌の特集、新聞紙面の展評等が挙げられる。
なお、個人所蔵家から初期作品のご寄贈をいただいた。

展覧会情報

会期 2003年10月14日(火)~2003年11月24日(月・祝)
入館料一般300円 小・中学生100円
※65歳以上の方及び障害者の方は無料
※毎週土曜日は小中学生無料
休館日10月20日(月)・27日(月)・11月4日(火)・10日(月)・17日(月)
主催 渋谷区立松濤美術館
展覧会図録

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完売