南京・江蘇省美術館所蔵

20世紀の中国水彩画

―風景と詩情―

2004年6月8日(火)~2004年7月19日(月)

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江蘇省美術館は、中国で最も古い美術館で、当館とは平成4(1992)年と平成9(1997)年の二度にわたり、美術館連絡協議会との共催で中国絵画の展覧会を開催してきた。三回目となる今回は江蘇省美術館の所蔵品から水彩画百点を選んで陳列することとなった。
水彩画は欧州に起源を発し、18世紀の英国で盛んとなったことは周知のごとくである。中国へは、古く明末にイエズス会宣教師により油彩と同時にもたらされたともいうが、本格的には、20世紀に入って、欧州や日本への留学生により伝えられたといえよう。紙に水溶性絵具を用いて描き、にじみやぼかしを多用するという技法の上から、中国固有の国画(紙本淡彩)と共通する画があり、西洋の技法を用いつつも、中国の伝統的な筆法も応用されるなどして、中国的な独自の展開をとげてきた。近代中国では「西学中用」の掛け声の下に西洋文明を中国に取り入れることが唱えられたが、まさに芸術分野での実践例ということができよう。
描かれる内容は、解放前の欧州水彩の引き写しにはじまるもの、建国の熱気あふれる五十年代のいわゆる社会主義リアリズムの影響が濃厚に見られる作品、そして文革時代の空白期間を経て、今日の改革開放政策のもとでの作品と多様であり、また、江南の水郷や西域などの中国の広大なる自然や歴史的建造物、風物を描いた作品や少数民族の生活をモチーフにした作品など中国ならではの主題が見られ、中国への旅情がかきたてられもする。本展ではこうした多様な作品の中から、日本留学の陽太陽、余鐘志、欧州に学んだ呉冠中、李剣晨などの作品から現在最前線で活躍する若手作家までの作品を陳列し、20世紀における中国水彩画の概要がうかがいえたものと思う。

展覧会情報

会期 2004年6月8日(火)~2004年7月19日(月)
入館料一般300円 小・中学生100円
※65歳以上の方及び障害者の方は無料
※毎週土曜日は小中学生無料
休館日毎週月曜日
主催 渋谷区立松濤美術館 読売新聞東京本社 美術館連絡協議会 
後援 中華人民共和国駐日大使館
協賛 花王株式会社
展覧会図録

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価格:2,000円

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