梅原龍三郎

晩年の造形と愛蔵品

2005年4月5日(火)~2005年5月15日(日)

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梅原龍三郎(明治21(1888)年-昭和61(1986)年)は、日本近代美術の巨匠である。若き日に渡仏してルノワールにその画才を認められ、帰国後白樺派の人々を中心に広く賞賛を受けた。以来、芳醇な色彩と奔放な筆致で見る者を魅了し、日本的な油彩画の完成者として一時代を築いている。梅原の展覧会は、生前から現在に至るまで頻繁に行なわれているが、この展覧会では、主に戦後の作品と、自身で蒐集した愛蔵品を対比させることに主眼をおいた。梅原の芸術は、しばしば西洋画の伝統と東洋的な美観を融合させたと評されるが、彼自身が蒐集していた美術品に、その創造の秘密がうかがえると考えたからである。
梅原の造形品に対する関心は古代から現代に及び、洋の東西も問わなかった。師のルノワール、ピカソ、ルオーらの名品を身近に置いて愛する一方で、ヨーロッパ古代彫刻やコプト織にも関心を寄せ、中国や日本の品々にも目を向けた。浮世絵や大津絵の平明な色彩と大胆な構図、浦上玉堂や富岡鉄斎の文人画の柔らかで強靱な筆致に魅了され、その名品を愛蔵していたのである。
それら蒐集品の多くは、梅原自身の感性に近い、骨太で、豊かな色彩に溢れ、原始的な生命感に富むものであったが、購入に際して、世間的な評価にとらわれることなく、自らの嗜好に適うかどうか、自らの創造にとって滋養となるかどうか、という基準を常に優先させた結果であった。梅原はコレクションした陶磁器や染織品などをしばしばモチーフとして描いたばかりでなく、摸写やスケッチを通してそれら古今の造形からエッセンスを吸収し、自身の制作に役立てたのである。
梅原は生前それらの高価な蒐集品を美術館や博物館に多数寄贈し、社会に大きな貢献をなしているが、この展覧会に際しては、それらの機関やご遺族のご協力で、梅原コレクションの重要な部分を再構成することができた。梅原作品とそのコレクションを交差させる展示によって、梅原芸術の核心に迫れたのではないかと考える。

展覧会情報

会期 2005年4月5日(火)~2005年5月15日(日)
入館料一般300円 小・中学生100円
※60歳以上の方及び障害者の方は無料
※毎週土曜日は小中学生無料
休館日4月11日(月)・18日(月)・25日(月)・5月2日(月)・6日(金)・9日(月)
主催 渋谷区立松濤美術館
企画協力 ティー・シー・ディー
展覧会図録

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価格:1,500円

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