會田雄亮展 変貌する陶土

―練込・陶壁・モニュメント―

2005年5月31日(火)~2005年7月18日(日)

渋谷区在住の陶芸家、會田雄亮の初の本格的な回顧展を開催した。
會田雄亮(昭和6(1931)年東京生まれ)は、千葉大学造園学科で都市計画を専攻するが、卒業後、宮之原謙に出会い師事することで、陶芸の道に入る。昭和36(1961)年、ボストン美術館附属美術学校の講師として招聘されたのを機に渡米し、アメリカ・ベニントン社のチーフデザイナーを勤めたのち、帰国。以後、練込技法に魅せられ、さまざまな表情の作品を展開しながら、環境造形にも携わっている。また、イタリア・ファエンツァ国際陶芸コンペ、吉田五十八賞をはじめ、数々の賞を受賞している。
會田は、自らの仕事を「珪酸塩工業」とあえて呼び、食器から環境造形作品まで、陶土の可能性を追求し、人間との係わりに追究しつづけている。出色の《陶織》など平面作品もまた、従来のタブローの枠を超えた意味合いを持つのであり、絵画、彫刻、建築の空間芸術としての相互関係を問い直すものである。初期の代表作であるキャセロールや練込技法による新作、環境造形作品の写真パネル・マケット、陶織・陶壁などの平面作品のほかに、「コレクション練込の仲間達―寄木細工・モザイクガラス・ビーズ・金太郎飴・のり巻き―」と題して、練込と共通する技法による東南ナジアの陶磁器やイタリアのモザイクガラス、日本の寄木細工などを併せて展示した。練込に魅せられた會田が、世界中から集めた作品や菓子に至るまでの膨大なコレクションの、ほんの一部であったが、會田作品のインスピレーションの源をかいま見ることのできるものであり、練込の奥深さを感じさせられる展示であった。
会期中、作家自身による展示解説や講演を開催した。多数の参加者があり、好評であった。

展覧会情報

会期 2005年5月31日(火)~2005年7月18日(日)
入館料一般300円 小・中学生100円
※60歳以上の方及び障害者の方は無料
※毎週土曜日は小中学生無料
休館日毎週月曜日(ただし7月18日は開館)
主催 渋谷区立松濤美術館
展覧会図録

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価格:2,000円

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