本展は、平成12(2009)年に迎えた日本画家・大道あやの生誕100年を記念して開催する本格的回顧展である。
大道あや(旧姓・丸木、本名/アヤコ)(明治42(1909)年~)は、広島県の飯室村油木(現在の広島市安佐北区安佐町大字飯室)に生まれる。60歳にして初めて絵筆を持ち、91歳までに描いた作品や絵本には、大道がそれまで歩んできた苦難に満ちた人生とは対照的に、動物たち、植物たちが生を謳歌する喜びに満ちあふれた姿が描きだされている。
作家の送ってきた人生をたどることは重要だが、大道の場合、これまで、ややもするとそのことへの関心へ偏りがちであったように思われる。絵本画家・作家としてはともかく、こと日本画家としての大道あやは、兄・丸木位里、そして素朴画家として高く評価された母・丸木スマの影に隠れるような評価のされ方であったのではなかろうか。さらに、主要作品の目される作品の一部が所蔵先不明であることもこれに拍車をかけている。こうした要因が重なって、日本画家としての大道あやに焦点をあて、包括的に回顧する機会に、これまであまり恵まれなかったと思われる。
本展は、作家所蔵の作品と沖縄・佐喜眞美術館が所蔵する院展や女流画家協会展に入選した代表的な日本画作品をはじめ、『こえどまつり』などの絵本原画と多彩な資料もあわせて約140点で構成された。大道と親交のあった佐喜眞美術館の所蔵する大道作品が館外に貸し出されたのは、今回が初めてである。
松濤美術館を皮切りに、愛知県・高浜市やきものの里かわら美術館、福岡県・田川市美術館、沖縄県・佐喜眞美術館、広島県・呉市立美術館に巡回し、各会場で大変な好評を博した。
展覧会情報
会期 | 2008年8月5日(火)~2008年9月21日(日) |
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入館料 | 一般300円 小・中学生100円
※60歳以上の方及び障害者の方は無料 ※毎週土曜日は小中学生無料 |
休館日 | 8月11日(月)・18日(月)・25日(月)・9月1日(月)・8日(月)・16日(火) |
主催 渋谷区立松濤美術館 東京新聞 |
展覧会図録
完売