大正イマジュリィの世界

デザインとイラストレーションのモダーンズ

2010年11月30日(火)~2011年1月23日(日)

本展ではポピュラー・カルチャーの旗手として大衆に浸透してゆく大正の新しいイマジュリィに注目した。多彩で豊穣なデザインとイラストレーションの華を咲かせたこれらのイマジュリィは、一人一人の眼に訴えかける親密性を持ちえており、いまなお清新な輝きをはなっている。
一世を風靡したアール・ヌーヴォー様式の橋口五葉とアール・デコに取り組んだ杉浦非水や小林かいち、あるいは大正を象徴する竹久夢二や高畠華宵にみられる少女趣味の抒情性や岡本帰一や加藤まさをなどの子供世界の愉しさ。また小村雪岱の洗練された江戸趣味や橘小夢や竹中英太郎らの怪奇幻想美を秘めた時代の雰囲気。そして都市文化におけるモダニズムは恩地孝四郎や古賀春江らを生み出し、プロレタリア美術は柳瀬正夢や村山知義らの前衛を目覚めさせる。やがては大衆の絶大な人気をあつめる演劇/映画、音楽、ファッションなどとつながり商業美術に裾野を広げてゆく。
独創的な発想で人気を博した、あるいは奇想幻想の知られざる、画家、版画家、挿絵画家、工芸家たちによる、装幀、挿絵、デザイン画、広告、ポスター、絵はがき、版画などの作品約400点を展示した。
「印刷物としての美術」を、無理なく受け入れる素地があったことと、昔日のイラストを懐かしむ年配の世代ばかりでなく、徐々に新しいデザインとして受け入れる若い世代の観覧者が多く見られ、大正時代のかわいい文化、あるいは洗練されたイラストに、現代的な人気があったことが驚きだった。

展覧会情報

会期 2010年11月30日(火)~2011年1月23日(日)
入館料一般300円 小・中学生100円
※60歳以上の方及び障がい者の方は無料
※毎週土曜日は小中学生無料
休館日12月6日(月)・13日(月)・20日(月)・24日(金)・27日(月)・29日(水)~1月3日(月)・11日(火)・17日(月)
主催 渋谷区立松濤美術館
後援 大正イマジュリィ学会
協力 大正100年実行委員会
企画・運営協力 株式会社キュレイターズ
展覧会図録

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完売