開館30周年記念特別展

牛島憲之

至高なる静謐

2011年4月5日(火)~2011年5月29日(日)

渋谷区立松濤美術館は、本年、開館30周年を迎えた。これを記念して、渋谷区ともゆかりある、戦後の洋画壇に大きな足跡を残した画家牛島憲之の回顧展を開催するはこびとなった。
牛島憲之は、熊本県に生まれ、少年時代から画家を志した。19歳で上京、青春時代の一時期を渋谷区千駄ヶ谷で過ごしている。東京美術学校を卒業した年の帝展に初入選、戦後の第2回日展で《炎昼》により特選を受賞。昭和24(1949)年には須田寿などとともに自由な創作・研究の場として東京藝術大学で後進の育成にも努めた。昭和56(1981)年に日本芸術院会員、昭和57(1982)年は文化功労者となり、翌昭和58(1983)年には文化勲章を受章している。
本展では、学生時代の《風景》から絶筆となった《道一筋》の題が示す通り、「絵かきは孤独でなければならない」の信念のもとに、日本の風土を新しい視野のもとでとらえ、日本の油絵、日本の美を追求し続けたものだった。その作品は、モチーフや技法の試みを積み重ねた上に熟成されたもので、柔らかな線と穏やかな色彩を特徴とし、そこに描きだされた世界は非日常的でありながら、妙にリアルな存在感をもち、詩情にあふれている。本展をとおし、気品ある、至高ともいえる静謐感に包まれた牛島憲之の世界に浸っていただくとともに、日本の油絵について思いをめぐらせることができた。

展覧会情報

会期 2011年4月5日(火)~2011年5月29日(日)
入館料一般300円 小・中学生100円
※60歳以上の方及び障がい者の方は無料
※毎週土曜日は小中学生無料
休館日4月11日(月)・18日(月)・25日(月〉 5月2日(月)・6日〈金)・9日(月)・16日(月)・23日〈月)
主催 渋谷区立松濤美術館
展覧会図録

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完売