特別陳列
ガストン・プティ
1989年2月5日(日)~1989年2月19日(日)
カナダ出身の造形作家ガストン・プティは日本、カナダはもとより、アメリカ、ヨーロッパ、アジア各国で個展を開催し、30年以上の画業を積み重ねている個性的な国際作家である。彼は昭和57(1982)年の第1回松濤美術館公募展で「針の頭」と題する油彩作品で松濤美術館賞を受賞している。プティは昭和5(1930)年、カナダのケベック州に生まれ、又、ドミニコ会の神父でもある。昭和36(1961)年に来日以来、日本を足場にして渋谷区南平台にあるカトリック系ドミニコ会教会の一遇にあるアトリエで、日々制作活動に励んでいる。
ガストン・プティの活動領域は多彩である。ステンドグラスのデザイン、教会内装はもとより、油彩、版画(シルクスクリーン、木版、エッチングなど)、彫刻、コラージュなどあらゆる領域に及んでいる。その油彩作品をはじめとする平面作品は、初期には昭和35(1960)年の「クレアシオン」シリーズ、「浮ぶ球体」シリーズ、「青」のシリーズ、「目」のシリーズなど抽象的傾向の作品を続々と制作してきた。しかし1970年代初頭の「まどいの面影」シリーズによって再び具象的な形態を中心とした様式に立ち戻ってきており、「ダビデ王」シリーズ、「現代とその分裂」シリーズなど、具象的描写に抽象的構成を組み合わせた彼独自のスタイルを生み出すに至っている。
プティは、区内に在住する重要なアーティストの一人として、区内在住作家展、及び公募展で度々作品の一部を陳列しているが、今回陳列した作品は、彼がここ数年来手がけてきた「テキスタイル」シリーズに連なるもので、本展のために制作された新作の数々である。キャンバスの上にプリント布地を貼り、その上に新たな色彩を重ねた装飾的な作品群は暖簾の華麗な色彩の世界と、折り本や版画のモノクロームの世界との対比によってガストン・プティの華麗で豊饒な世界が現出され、入館者の好評を得た。
展覧会情報
会期 | 1989年2月5日(日)~1989年2月19日(日) |
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入館料 | 無料 |
休館日 | 2月6日(月)、12日(日)、13(月) |
併催 1989松濤美術館公募展 |