19世紀アメリカインディアンの染織

バーラントコレクション・ナバホブランケット

1985年4月2日(火)~1985年5月19日(日)

アメリカインディアン・ナバホ族は、北アメリカ南西部に住む部族であるが、彼等の織り成すブランケットは斬新なデザインと鮮やかな色彩で有名である。本展はアメリカ在住のコレクター・アンソニ・バーラント氏の所蔵にかかるナバホブランケットを展観したものであるが、日本で見ることの稀なナバホブランケットの全貌を把えたことは有意義であった。ナバホブランケットそのものが、近隣のプエブロ族から教わった技術を基にしたものであり、その製作時期も比較的新しく、本展も19世紀のものが中心となっているが、このわずかな期間に様様に変貌したナバホブランケットのデザインと色彩には、興味の尽きない魅力を感ずる。
本展には、先述したとおりの、ナバホブランケットに影響を与えたプエブロインディアンの織物も4点陳列したが、他は大小各種のナバホ族のブランケット、ラグなど47点を陳列した。
その特異な色彩は、時には植物染料、他には化学染料と社会情況の変遷につれて対応して行くのだが、材料である羊毛も、工業の進化と共にサクソニー、ジャーマンタウンなどがもたらされ、双方が刺激し合い、独自な風格のあるブランケットを作り上げていったのである。
ここで、ナバホブランケットの代表的なものを2点を紹介しておく。
“アイダズラー”(目眩し模様)・・・1870年代末までに化学染料が導いた、その名のとおり目映いばかりの赤や原色の織り成すスタイル。原色で細い、機械生産のジャーマンタウンの糸の出現が、このスタイルに一役かっている。一定間隔に繰り返す鋸歯状線や、三角形と組合せた菱文様が主要モチーフとなる。
“ウェッジウィーブスタイル”(くさび織)・・・緯糸を経糸に対して、直角でなく斜めに織り入れる技法。緯糸が縞柄で角度をつけて一方的にならぶ段と、その逆方向にならぶ段とが交互に繰り返し、縦方向ジグザグの縞模様となることが多い。織耳は直線にならず、経糸に力がかかり蛇行線になるのが特徴である。

展覧会情報

会期 1985年4月2日(火)~1985年5月19日(日)
入館料一般200円 小・中学生100円
休館日4月8日(月)・14日(日)・22日(月)・30日(火) 5月1日(水)・2日(木)・7日(火)・8日(水)・12日(日)
主催 渋谷区立松濤美術館
共催 町田市立博物館、下関市立美術館、日図デザイン博物館
展覧会図録

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完売