特別陳列

橋本コレクション 中国の墨梅画

1990年2月18日(日)~1990年3月4日(日)

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梅は中国において、百花の魁として寒風霜雪を冒師、清楚な花を開き、芳烈な香気を発する植物として、人々に愛されてきた。漢代、越の使者が一枝の梅を梁王に送ったことをはじめとして多くの故事が伝えられるが、なかでも、宋の隠士林和靖が鶴を飼い、梅を植えて「疎影横斜水清浅、暗香浮動月黄昏」と詠んだことはよく知られるところである。宋代の人はとくに梅を好んだようで、氾正大が梅樹数百本を植えて花村と名付けたりもしている。梅の淡白で幽雅な趣がこの時代の好尚に合致したものといえよう。墨梅図も、宋代の華光和尚、楊補之らにはじまるといい、その後、元に呉鎮、明初に王 などの大家が出て、以後、現在に至るまで中国絵画、なかでも文人画の主要なジャンルとなった。
梅を画くことを写梅というが、これは、意を以て写すことに要諦があるからである。また、墨梅の画法の上では、根、幹、枝、梗(梅の若い枝)、篠(老幹から上方に一直線に伸びる新芽の枝)、花の六つの要素で成り立ち、それぞれに精通しなくてはならない。本展では、当館に寄託されている国際的にも著名な橋本コレクションの中から、明代より近代までの墨梅図13点を選び陳列した。折しも梅花の咲き誇る季節であり、画家それぞれの技法とともに、画家の梅花に込めた意を観ていただけたと考える。

展覧会情報

会期 1990年2月18日(日)~1990年3月4日(日)
入館料無料
休館日2月19日(月)、26日(月)
併催 1990松濤美術館公募展
併催 特別陳列 磯村敏之