渋谷区・パリ市六区文化交流協定成立記念特別展 パリ市六区の三美術館所蔵

エベール・ドラクロワ・ザッキン

―エベールの絵画初公開―

1985年11月3日(日)~1985年12月8日(日)

本展は渋谷区とパリ市六区との文化交流協定締結を記念して、パリ市六区に所在する三美術館、国立エベール美術館、国立ドラクロワ美術館、パリ市立ザッキン美術館の作品を陳列したものである。パリ市六区は、パリ市中央部、セーヌ川南岸にあり、リュクセンブール公園、美術学校、各種の美術館など、文化施設が多い区である。
渋谷区は、パリ市六区との友好関係を深めていたが、昭和60(1985)年の5月に、正式に両区間の文化交流協定を締結した。
エベール美術館からは、油彩13点、水彩18点、デッサン32点を陳列した。エルネスト・エベールは、19世紀フランス・アカデミーの代表的な画家で、フランス市民文化が爛熟した19世紀後半に、品格ある夢みるような女性を描く肖像画像としてパリ市民の間に名声を馳せた。エベールは若くしてローマ大賞を受け、ローマのフランス・アカデミーで学んだ。帰国後、彼はパリの画壇で歴史画家、肖像画家としての地位をゆるぎないものにしていった。彼は二度にわたりローマのフランス・アカデミーの校長を務め、生涯の通産三十年間をイタリアで過ごし、後進の教育にあたった。本展では、イタリアの農民や風景を描いた多数のデッサン、水彩、油彩作品、そして肖像画家としての力量を示す「眠るバイオリン弾きの子供」などの人物画、さらに「聖女マルガレーテ」のような象徴派風の作品などが出品され注目された。
ドラクロワはフランス・ロマン派の巨匠であるが、本展は、ドラクロワ美術館所蔵のリトグラフ、書簡など9点、ドラクロワ友の会から、デッサン類4点、弟子の作品2点を加えて陳列した。
ザッキンは立体派の彫刻家として、現代彫刻界に大きな足跡を残している。「オルフェ」「三美神」など彼の代表的な彫刻のブロンズ小品8点に加えて源氏物語から題材を得た「ゲンジ」などのタピスリー2点、版画7点を出品した。
本展は、パリ市六区の三美術館所蔵の優品が公開され、特に、サロンの画家エルネスト・エベールの絵画が日本で初公開されたことは、世界的にアカデミーの画家の再評価の動きが起っている現在、専門家の注目を集め評価され、又本展は開館以来の最高入場者数を記録した。

展覧会情報

会期 1985年11月3日(日)~1985年12月8日(日)
入館料一般200円 小・中学生100円
休館日第2日曜日及び他の週の月曜日 祝日の翌日
主催 渋谷区 パリ市六区
後援 外務省 フランス大使館 国立エベール美術館
展覧会図録

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価格:1,200円

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