特別陳列

清原啓一

1992年2月9日(日)~1992年3月22日(日)

渋谷区在住の洋画家清原啓一は、昭和2(1927)年、富山県砺波市に生まれた。昭和27(1952)年の日展に初入選し、以後日展・光風会を中心に活動を続けている。昭和34(1959)年の日展で「群鶏」が特選を受賞しているが、氏は以後鶏や薔薇といった花鳥画に類するモチーフに精力を注ぐことになる。それまで花鳥画は、伝統的に日本画に多く見られるモチーフであったと言えようが、氏の鶏や薔薇のモチーフの追求は、日本的な世界を取り込むことによって、新しい日本の油彩の世界を拓こうとする大胆な試みであった。力強く綿密な画面構成は西洋の伝統を踏まえたものに違いないが、明るく装飾的な色彩は、日本的感性を表現したものと言って良いだろう。
今回の展覧会は、油彩画全31点を前期・後期の二期に分けて構成した。前期は主に鶏をモチーフとする作品群によって、氏のこれまでの足跡を振り返ることに主眼をおいた。後期は新作中心の構成としたが、山岳風景が数点加えられている点に新たな展開が見られる。故郷富山の山々などを描いたそれらの作品は、花鳥画における成果を踏まえた上で、やはり日本画において長い伝統を持つ山水画の世界に挑む試みといえよう。

展覧会情報

会期 1992年2月9日(日)~1992年3月22日(日)
入館料無料
休館日2月10日(月)、12日(水)、17日(月)、24日(月)~3月2日(月)、8日(日)、9日(月)、16日(月)
前期:平成4(1992)年2月9日(日)~23日(日)
 併催 1992松濤美術館公募展
後期:平成4(1992)年3月3日(火)~22日(日)
 併催 第10回渋谷区小中学生絵画展
展覧会図録

展覧会図録

完売