特別陳列

児玉幸雄

1994年2月13日(日)~1994年3月21日(日)

児玉幸雄(大正5(1916)年-平成4(1992)年)は異国の風物にこだわり続けた画家である。昭和32(1957)年に渡欧して以来、毎年のようにヨーロッパ各地を廻り、時には中近東やアフリカにも脚を伸ばして題材を求め、精力的な制作を重ねた。多くの日本人画家をはじめ世界中の画家が描いたパリも、児玉が盛んに取りあげた題材であったが、ある文章の中で「いきいきと雑踏する広場の朝市に偶然ぶつかると、思わず快哉を叫びたくなる程の衝動に駆られます」と自ら語っているように、いわゆる名所や旧跡ではなく、庶民の活気あふれる朝市や、そこで生活する名もない人々の生きざまを好んで描いている。単なる異国趣味に終わらぬ人間のありように対する飽くことのない興味と探究心こそが、児玉芸術の核心であったのだろう。
本展は渋谷区に居をかまえて以降の円熟期の油彩画を中心に、晩年盛んに制作した水彩画やリトグラフ(一部展示替えあり)をあわせて構成した。二紀展などに出品した油彩画の大作では、意外なほどに人物が大きな比重を占めており、その構築的な画面構成に特色がある。軽快なタッチの水彩画では、色彩の鮮やかさが印象的であった。

展覧会情報

会期 1994年2月13日(日)~1994年3月21日(日)
入館料無料
休館日2月14日(月)、15日(火)、21日(月)、28日(月)~3月7日(日)、13日(日)、14日(月)
前期:平成6(1994)年2月13日(土)~27日(日)
 併催 1994松濤美術館公募展
後期:平成6(1994)年3月8日(土)~21日(日)
併催 第12回渋谷区小中学生絵画展
展覧会図録

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価格:600円

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