鍋島

1981年12月2日(水)~1982年1月24日(日)

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この展覧会は、江戸時代、肥前鍋島家の藩窯である鍋島焼60余点を陳列したものである。
有田を中心に展開した伊万里・柿右衛門・鍋島の諸窯は、染付・赤絵などの焼造をもってわが国瓷業史上重要な存在である。なかでも、鍋島焼は、藩窯として経営されたので、独特の作風と粋を尽くした技術で知られる。
鍋島藩窯は、有田岩谷川内で寛永5(1628)年に始まるとされ、寛文年間に南川原、延宝3年に大川内山二本柳に移った。南川原以前の作品を初期鍋島、大川内山時代完成期の作品を盛期鍋島、文化年間以後衰退期の作品を後期鍋島と称し、初期鍋島・盛期鍋島ともに木盃形と呼ばれる高台の高い円形の皿が多く、口径も1尺・7寸・5寸・3寸と規格にあわせてある。
絵柄は、初期鍋島では、絵付瓷器に色釉をのせる技法、墨はじき技法を用い、盛期以上に巧妙な技術が見られる。又、色絵の場合、絵付する紋様を染付で輪郭隈取りする厳格さを見ることができる。
盛期鍋島の絵柄の特色として、中央白抜きの構図をとるものが多く、その題材を絵本稽古帳や服飾の雛形・様本にとるなど多様で、独特の構図にまとめられていく。
本展では、初期と盛期の作品を陳列し、両期の特色を十分にうかがい知れる展観となった。
なお、当館の所在せる松濤の地名は、甞てこの地に鍋島家の茶園があり、そこでつくられた茶の銘が「松濤」であったことに由来する。当館で鍋島焼の陳列をするというのも一つの因縁であろうか。

展覧会情報

会期 1981年12月2日(水)~1982年1月24日(日)
入館料一般200円 小・中学生100円
休館日毎週月曜日(ただし、第2週のみ日曜日)祝日の翌日及び年末年始(12月29日~1月3日)
主催 渋谷区立松濤美術館
併催 伊藤若冲
併催 特別陳列 渋谷区在住作家の作品
展覧会図録

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完売