橋本コレクション

中国の墨竹

1987年12月8日(火)~1988年1月24日(日)

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白居易の「養竹記」(唐文粋巻七十七)に「竹似賢何哉、竹本固、固以樹徳、君子見其本、則思善建不抜者、竹性直、直以立身、君子見其性、則思中立不倚者、竹心空、空以體道、君子見其心、則思応用虚受者、竹節貞、貞以立志、君子見其節、則思砥礪名行夷険一致者」とある。イネ科の植物である竹は、中国では異名を君子、此君などといい、その植物としての特性から、君子を象徴する植物として、古くより詩文や絵画の主題とされてきた。
絵画においては、北宋時代の後半、蘇軾、文同らにより文人の墨戯としての墨竹画が、絵画の一ジャンルとして確立され、元代には、李がでて「竹譜詳録」を著し、また、呉鎮、倪雲林、趙松雪、顧安らが優れた墨竹画を残した。明代にはいると、夏が墨竹画家の筆頭としてあげられ、また、沈周、文徴明らの文人画家が輩出し、文人の気概を竹にたくして描いた。明末清初においては、徐枋や萬壽棋という遺民画家が、その高節にふさわしい、清浄かつ孤高の境地を示す墨竹の佳品を残している。清代には、朱端、戴明説らが墨竹画家として上げられるが、特に、乾隆年間に楊州を中心に活躍した楊州八怪、中でも、鄭板橋、金冬心の二人が墨竹を以て知られ、近代の呉昌碩に連なっていく。
本展では、過去2回に引き続き、収集家、研究者として、国際的にも知られる橋本末吉氏の中国絵画コレクションのなかから、元末の顧安をふくめ、明清時代を中心に、近現代に至る画人82家111点の竹を主題とした作品、及び鄭板橋の書一点を陳列し、中国絵画史上における墨竹画の軌跡を概観した。

展覧会情報

会期 1987年12月8日(火)~1988年1月24日(日)
入館料一般200円 小・中学生100円
休館日第2日曜日及び他の週の月曜日 祝日の翌日
主催 渋谷区立松濤美術館
展覧会図録

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完売