特別陳列 渋谷区制70周年記念

岸田麗子展 [麗子像]以後を生きる

2002年9月24日(火)~2002年10月6日(日)

渋谷区制70周年を記念する展覧会として、渋谷区に生まれた岸田麗子をとり上げた。
岸田麗子は、日本近代を代表する著明な画家・岸田劉生の長女として大正3(1914)年渋谷区山谷に生まれた。彼女がモデルを務めた、劉生の数々の「麗子像」は、広く知られ、親しまれているが、麗子その人についてはこれまでほとんど知られることはなかった。
劉生の画室でモデルを務めながら、麗子は父から多くを学び、無心に絵を描き始めた。幼い麗子の描画は、劉生の著書『図書教育論―我子への図書教育―』(大正14(1925)年)で詳しく論じられており、そこに収められた描画は、現在東京国立近代美術館に所蔵されている。しかし劉生は昭和4(1929)年に急逝し、麗子は父であり絵の師でもあった大きな存在を失う。傷心の麗子は父の親友だった武者小路実篤を慕い、「新しき村」の活動を知って演劇部に入り、女優として活躍するようになった。かたわら喫茶店を開き、また絵を描き続けて、自分の道を求めようと努力を続けた。
結婚して和歌山に移り住み、三人の子の母として終戦を迎えた麗子は、これまでの絵画作品の多くを戦災で失ってしまう。しかし再び上京し、生活を整えるべく奮闘し、昭和25(1950)年頃から絵画制作に打ち込み、再び舞台に立つとともに、執筆活動にも精力を注いだ。長年の念願をかなえて著書『父 岸田劉生』(昭和37(1962)年)をようやく上梓したとき、麗子は急逝しなくてはならなかった。
没後40周年にあたり、知られざる岸田麗子の油彩画、日本画、出版物に写真や資料を加え、初めてその生涯を回顧した。

展覧会情報

会期 2002年9月24日(火)~2002年10月6日(日)
入館料無料
休館日毎週月曜日
併催 特別展 渋谷区制70周年記念 友好都市ゆかりの美術展 ―黒田清輝・東郷青児・菱田春草・郷倉和子など―
展覧会図録

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完売