三枝朝四郎50年の写真記録

アジアの人間と遺跡

1982年2月17日(水)~1982年4月4日(日)

写真は、対象を捉えると同時に、撮す側の人格をも表わす。三枝朝四郎氏の写真は、あるがままの大自然と、そこに住む人々の姿を奇をてらうことなく淡々と捉え、あくまでも明るく、静かである。しかも、半世紀に亘って蓄積された写真は、そのまま、アジアの激動の歴史をも物語っている。
三枝氏は、東京で生れ育ち、4年余のロンドン留学後、昭和8(1933)年から、満洲を舞台に活動を始めた。
日満文化協会主事として、奉天をはじめとする多くの博物館の創設、熱河古建築、遼の慶陵、輯安の高句麗遺跡、遼陽の漢代古墓などの学術調査、協力、美術展、出版などの文化事業に尽力した。
戦後の氏の活躍は、東京大学イラン・イラク遺跡調査団、東京大学インド史蹟調査団、ティグリス川遺宝引き揚げ事業などの調査に参加し、文化財専門の野外、遺跡写真家として、大きく貢献した。
氏の温厚篤実、明朗闊達な人柄は、多くの人々の敬愛と信頼を得、大規模な調査隊のマネージャーとして、雑多な問題の処理と調整に才能を発揮し、調査団の大黒柱的役割をも果した。
今回の展観は、氏の生田の貴重な写真の中から69点を厳選したもので、初めて公開されたものである。トルコから中国に亘る広大なアジアの大地に散りばめられ、悠久たる時の流れの中に埋れ、生きのび遺跡と、そこに生きる民族と人々の姿は、多くの来館者に感動を与えた。

展覧会情報

会期 1982年2月17日(水)~1982年4月4日(日)
入館料一般200円 小・中学生100円
休館日毎週月曜日(ただし、第2週のみ日曜日)祝日の翌日及び年末年始(12月29日~1月3日)
主催 渋谷区立松濤美術館
併催 特別陳列 江戸の人物画 谷信一コレクション
併催 特別陳列 渋谷区在住作家の作品
展覧会図録

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価格:600円

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