院展の彫刻

1982年4月28日(水)~1982年6月12日(土)

日本美術院は明治31(1898)年東京美術学校(現東京藝術大学)校長を辞任した岡倉天心を中心に結成されたが、横山大観、下山観山、菱田春草等の幾多の俊英を輩出しながらも中途で立ち消えになった。大正3(1914)年横山大観が文展の審査員をはずされたことから、日本美術院を再興し、日本画とならんで付属の彫刻研究所が生まれ、第一回院展が発足した。昭和36(1961)年まで続いたこの院展の中で、本展は大正初期から昭和初期までの、いわば草創期の作品を陳列した。
平櫛田中は、高村光雲から影響を受け、気迫あふれる豪放な木彫を完成させた。やはり木彫家として大きな足跡をのこした佐藤朝山、そしてその朝山に師事した橋本平八は、気骨ある純朴な作品を制作した。一方、ロダンに傾倒し夭折した荻原守衛に影響を受けた中原悌二郎、戸張孤雁、又、ブールデルに師事した保田龍門は、西洋塑像の造形を日本において定着させた。本展では、以上の作家のほかに、吉田白嶺、石井鶴三、喜多武四郎を加えて陳列した。
これらの作家はそれぞれ個性の違いがあるにもかかわらず、それまで多く見られた伝統的あるいは宗教的なテーマから離れ、日常我々を取り巻く題材に眼を注ぎそれらを自己の内面に深く取り込んでいる。この時期の院展の彫刻をとおして、日本の近代彫刻確立期の情熱が感じられたことと思われる。

展覧会情報

会期 1982年4月28日(水)~1982年6月12日(土)
入館料一般200円 小・中学生100円
休館日毎週月曜日(ただし、第2週のみ日曜日)祝日の翌日及び年末年始(12月29日~1月3日)
主催 渋谷区立松濤美術館
併催 特別陳列 琳派再生 神坂雪佳
併催 特別陳列 渋谷区在住作家の作品
展覧会図録

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価格:650円

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