日中国交正常化20周年記念展

明清の書と絵画

明清の書と絵画 江蘇省美術館所蔵

1992年4月9日(木)~1992年5月26日(日)

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六朝以来の古都南京は、歴代王朝にあって江南の中心都市として政治、経済、文化の面で重要な地位を占めた。特に、絵画の世界では、明末清初の都市経済の発展を背景に龔賢を筆頭とする金陵八家が輩出したことで知られる。
江蘇省美術館は、解放前の昭和11(1936年)に国立美術陳列館としてこの南京に建てられ、昭和31(1956)年に現在の呼称に改められた中国でも歴史の最も古い美術館の一つで、特に明清以後の中国書画の収集をもって知られる。その内容は、明代の呉派文人画、浙派、清代の婁東派、虞山派、揚州八怪、京口派、海上派に及び、明末清初以後の中国絵画の展開を語るうえで貴重なコレクションであり、書跡においても、明清の文人の書を中心とする精品を収蔵している。
本展では、その中から、明清時代の絵画72点、書跡27点を陳列し、明朝中葉から清末までの中国絵画の軌跡を概観した。今回の出品作品の中には、黄克晦、夏、董朝用、周賁如などの画家の弧本ともいえる作品も含まれ、これらの作品は中国絵画の専門家の関心を集めた。また、黄克晦の「金陵六景図」、張培敦の「清儀閣読書図」、査士標の「行書七絶」などの作品は一般の来館者にも好評であった。
本展は、日中国交正常化20周年を記念して、秋田市立千秋美術館、伊丹市立美術館、読売新聞社、美術館連絡協議会との共催により開かれたものであり、中国側からは、徐天敏江蘇省美術館名誉館長はじめとする代表団が来日し、相互の友好を深めることができたことは喜ばしいことであった。また、日中相互の交渉過程において、日本に留学中の画家傳益玉女史に御尽力いただいた。女史は、戦前に武蔵野美術大学で学んだ中国画壇の重鎮として知られる故傳抱石氏を父にもたれる。父子二代にわたり日中両国の文化交流に関わっておられ、国交正常化20周年を記念した展観にふさわしい人の活躍を得たといえよう。

展覧会情報

会期 1992年4月9日(木)~1992年5月26日(日)
入館料一般200円 小・中学生100円
休館日4月12日(日)・13日(月)・20日(月)・27日(月)・30日(木) 5月6日(水)~8日(金)・10日(日)・11日(月)
主催 渋谷区立松濤美術館 読売新聞社 美術館連絡協議会
後援 外務省 中国大使館
協賛 花王株式会社
展覧会図録

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完売