現代ドイツのジュエリー・デザイン

1993年4月7日(水)~1993年5月23日(日)

人間は、身を飾るという欲求をもって生まれてきた存在といえる。そして、原始から現代まで、人間が自らを飾りたてることをしなかった文明は存在しなかったといえよう。その意味では、人間の歴史において、装飾品は古くより最も身近な芸術品であったといって過言ではない。同時に、装飾品は、権力の象徴であったり、宗教的な意味合いを持つなど、それぞれの装飾品をうみだした民族、時代、文化を反映する存在でもあったといえる。
本展は、1989年に、ifa(ドイツ対外文化交流研究所)が、ドイツの宝飾工芸の中心として名高いフォルツハイムなどで活躍するジュエリー・デザイナー25名71点の作品を選んで構成したもので、欧州、アジア各国を巡回し、小館が、日本における会場となったものである。
出品された作品は、必ずしも宝石や貴金属が使われているわけではなく、むしろ、合成樹脂や木、紙などの極めて普遍的に存在する素材が用いられており、作品選択の基準が、芸術表現の優秀性、高度な技術、そして、作者の個性が見られることに重点の置かれていることが知られる。
本展により、現代ドイツにいて、芸術分野の一つとして、ジュエリー・デザインが極めて重要な地位を占めていることが伺われるとともに、ドイツ芸術の一端を窺い知る好機となったと考える。
また、陳列にあたっては、ifaより機材、陳列ケース、照明器具などが付帯して送られ、また陳列にあたる人員が派遣されてきたが、それらのケースの機能的なデザイン、照明技術の優秀性、効率的な陳列方法など教えられることが多く、その点でもドイツ文化の一端を見ることができた。

展覧会情報

会期 1993年4月7日(水)~1993年5月23日(日)
入館料一般200円 小・中学生100円
休館日4月11日(日)・12日(月)・19日(月)・26日(月)・30日(金) 5月6日(木)・7日(金)・9日(日)~11日(火)・17日(月)
主催 渋谷区立松濤美術館 東京ドイツ文化センター
協力 ifa(ドイツ対外文化交流研究所)
展覧会図録

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価格:1,700円

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