渋谷区・パリ市六区文化交流特別展

フランス国立貨幣博物館

1994年10月12日(水)~1994年12月4日(日)

渋谷区はパリ市6区と文化交流を継続している。その事業の一環として、既に松濤美術館に於いて過去2回の企画展を実施してきた。(エベール・ドラクロア・ザッキン展。フランス国立美術学校、ローマ賞絵画展。)今回はその第3回目の特別展である。
フランス国立貨幣博物館は、昭和63(1988)年にパリ市6区にあるフランス造幣局の中に開設された貨幣とメダルの博物館である。ここでは古代から現代にいたるフランスのコインやメダルを陳列する他、貨幣制度や制作技術、流通機構などの一般の人々の理解と知識を深める為に創設さた。
本展は、フランス国立貨幣博物館の所蔵品の中から、古代から現代までのフランスを代表する640点のメダルとコイン及びその拡大模型を、更に、現代フランスの代表的なブロンズ彫刻の作家の代表彫刻31点を加えて陳列し、他に貨幣関係の歴史資料を加えて全750点あまりの作品で構成されている。
紀元前のフランスはローマ人にガリアと呼ばれており、ケルト人などが居住していた。彼らはギリシャ・ローマ人と接触して、抽象的図柄の独自のコインを製造した。本展ではマケドニア、フィリップ2世の金貨や、フランス各地の種々のケルト貨幣が出品された。
中世では、シャルルマーニュ大王はローマ帝国のデナリウス貨幣を手本として、フランク王国のドゥニエ貨を作成したが、これは中世全般を通じての基本通貨となっていった。この時代は王の肖像の他、宗教的なモチーフが貨幣に刻まれた。
15世紀から18世紀後半の旧体制の時代はアンリ3世、4世とも重要な通貨を作成し、ルイ13世は金貨とエキュ銀貨を発行、続いてルイ14世は自身の肖像を数多くの貨幣・メダルを発行したがそれらの多くが出品された。
共和政の時代には市民社会にふさわしい自由・平等を象徴するヘラクレスと女神の5フラン貨やマリアンヌ貨に種まく女の図柄が使われた。
 第1次大戦以降、銀などの貴金属が減少して、少額貨幣としてのアルミ・ニッケルが登場し、紙幣の時代となった。
メダルとしては、ダリやマチエールなどの一流作家によるデザインの作品が数多く出品された。又、日本の美術品や風俗をテーマにした外国作家によるメダルも数多く出品されて注目を集めた。

展覧会情報

会期 1994年10月12日(水)~1994年12月4日(日)
入館料一般200円 小・中学生100円
休館日10月17日(月)・24日(月)・31日(月)・11月4日(金)・7日(月)・13日(日)・14日(月)・21日(月)・24日(木)・28日(月)
主催 渋谷区立松濤美術館
展覧会図録

展覧会図録

完売