江戸の人形

―祈りと遊びの世界―

1996年4月9日(火)~1996年5月26日(日)

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人形は「かたしろ」「ひとがた」などと呼ばれ、人の身代わりとして災厄や汚れを取り除くといった呪いや信仰の具として使われてきた。
一方で、這子(ほうこ)と呼ぶ人形を作り、子供の成長の無事を祈る風習も生まれ、さらには、遊びの道具としての雛人形が生まれ、雛祭りが今に受け継がれている。
江戸時代には、人形は多面的に展開し、雛人形も寛永雛、享保雛などそれぞれの時代の流行と特徴を持つ雛人形が生まれた。
また、子供の遊具とは別に、御所人形などの大人の鑑賞の世界で愛でられる嵯峨人形などが誕生し、地方ではそれぞれの地方の特色を濃厚に持つ郷土人形が作られ、また、精巧な動きをするからくり人形は、江戸時代の科学技術の一端を示す物である。
本展では、江戸時代の這子(ほうこ)や雛人形、京都で制作された御所人形、佐賀人形から、地方の特色を豊かにもつ堤人形などの郷土人形、精緻な細工による動きを誇るからくり人形まで約350点を陳列し、信仰とも結びついた江戸の人形の雅やかな美を検証した。
本展の出品作、中でも御所人形の多くを京都の御門跡より拝借することができた。「枕草子」に、子供が這い這いしつつ何かをつまみ上げてみせる様が可愛いといったような記述があったが、正にそれを思わせる人形の姿であり、その人形を愛でたであろう姫宮の心もまたおしはかられるものであった。

展覧会情報

会期 1996年4月9日(火)~1996年5月26日(日)
入館料一般200円 小・中学生100円
休館日4月14日(日)・15日(月)・22日(月)・30日(火) 5月7日(火)~9日(木)・12日(日)・13日(月)・20日(月)
主催 渋谷区立松濤美術館
協力 博物館さがの人形の家(京都)
展覧会図録

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完売