日中国交正常化25周年記念・江蘇省美術館所蔵

20世紀の中国絵画

1997年8月5日(火)~1997年9月21日(月)

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20世紀の中国社会は、辛亥革命、日中戦争、中華人民共和国の成立、文化大革命などを経て、政治的、社会的に激変し、今日では改革開放政策のもとで新たな道を歩んでいる。
絵画の世界でも、政治的、社会的、そして思想的な影響を受け大きな変革が見られた。従来の古典的文人画から、国画へ絵画の主流は移り、日本や欧州への留学生がもたらした日本画や西洋絵画の影響により、その国画もしだいに変貌を遂げていった。また、絵画の学習方法も、従来の臨模を中心とする方法から学校教育中心に変わっていった。さらに中華人民共和国成立後は、同じ山水や人物を描いても、そこには、祖国の発展を歌い上げ、国家建設に邁進する人民の姿を描くなど、共産主義思想の影響を受け主題が変化していく。文化大革命時代には、多くの画家が他の知識人たちと同じように批判を受け、投獄や自殺に追い込まれたものもいた。また、描かれた作品も時代を反映した独特なものとなっている。そして、近年の改革開放政策のもとで、作風は自由に、主題も多様なものへと変わりつつある。
本展では、国画の展開にかかわった呉昌碩から、日本や欧州へ留学して新風をもたらした徐悲鴻、傳抱石などから、現代画壇で個性を発揮する傳小石、石大法などの作品100点を陳列し、20世紀中国絵画の歩みを顧みた。
今日、例えば上海美術館で開かれているビエンナーレなどでは、より自由な作風の作品が見られる。とはいえ、まだ、政治的・思想的に制限されている部分も多くあるのも事実である。今後とも、中国絵画がより魅力的なものになるためには、より一層の自由が必要であると思う次第である。なお、本展は、江蘇省美術館の全面協力のもと、読売新聞社・美術館連絡協議会との共催で開かれ、長崎県立美術博物館、八戸史美術館に巡回した。

展覧会情報

会期 1997年8月5日(火)~1997年9月21日(月)
入館料一般300円 小・中学生100円
休館日8月10日(日)・11日(月)・18日(月)・25日(月) 9月1日(月)・8日(月)・14日(日)・16日(火)
主催 渋谷区立松濤美術館 読売新聞社 美術館連絡協議会
後援 外務省 中国大使館
協賛 花王株式会社
展覧会図録

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完売