特別陳列

森芳雄

1985年2月5日(土)~1985年3月17日(日)

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当館では昭和56年秋「開館記念特別展 森芳雄」を開催した。初期から近代に至る系統的な40余点の陳列で、その格調高い芸術を鑑賞していただけたことだろう。
本展は前回に比較し油彩画12点、デッサン6点と小規模ではあるが、その中でデッサンは多数描かれた作品の中から選んで陳列されたものである。デッサンは画家がタブローの下絵に描く場合ばかりではなく、それ自体完結した作品としてみることができる。それは色彩、線といった要素が単純であるだけに画家の物の見方、表現の仕方、また、モチーフに接した時の興奮が直裁に観る者に伝わってくる。特に森芳雄のデッサンには飾ったところがなく制作の舞台裏をみせてくれる。主要テーマである人物画はデフォルメにより実在感のある表現をもたらしている。最初の渡仏以来、数回のヨーロッパを中心とする外国旅行における風景画は臨場感のある空間の広がりを持った画面を作り、身近なモチーフによる静物画は静謐な空間をかもし出している。
日本における油彩画の意味を常に問い続けながらも、安易に日本臭さに堕すことなく、真正面から画面の構造を探り、リアリズムを追求した。戦後の洋画界の大きな原動力となった。
この展観が森芸術のより深い理解の一助となったことと思う。

展覧会情報

会期 1985年2月5日(土)~1985年3月17日(日)
入館料無料
休館日2月10日(火)、12日(火)、2月18日(月)~3月2日(金)、4日(月)、10日(日)
前期:1985年2月5日(土)~2月17日(日)
 併催 第3回渋谷区小中学生絵画展
 併催 渋谷区在住作家の作品
後期:1985年3月3日(土)~17日(日)
 併催 1985松濤美術館公募展
 併催 渋谷区在住作家の作品