セーヌの岸辺から 画業60年

村山密展

2000年6月6日(火)~2000年7月16日(日)

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茨城に生まれた村山密は、旧制中学卒業後、川端画学校、春陽会洋画研究所に通い、画家としての道を歩み始めた。春陽会では、終生の師となる岡鹿之助の薫陶を受け、春陽会展や文展に入選しつづけ、昭和29(1954)年に岡の勧めにより渡仏、藤田嗣治の庇護の下に、多くの画家や詩人など交わりを結んだ。昭和34(1959)年、今度は永住を決意して渡仏、以来、セーヌ河畔に居をかまえて、制作につとめ、昭和37(1962)年にサロン・ドートンヌに初出品して入選、また、パリ16区主催の風景画のコンクールでド・ゴール大統領賞を受賞してフランス画壇にデビューした。その後、サロン・ナシオナル・デ・ボザールで外国作家賞(昭和38(1963)年)、アニエール展でグランプリ(昭和39(1964)・昭和57(1982)年)に輝き、サロン・ドートンヌの審査委員(昭和54(1979)年)、絵画部長(昭和60(1985)年)を歴任、平成3(1991)年にはパリ名誉市民賞であるヴェルメイユ勲章、平成9(1997)年にはシュバリエ・ド・レジオン・ドヌール勲章を受けている。
その作品は、印象主義とキュビスムの融合を目指した初期の「ロッカマドール」(昭和37(1962)・昭和38(1963)年)から、山水画的構成を想起させる「ジュラの渓谷」(昭和44(1969)年)、鳥瞰図的パリの大パノラマである「シャンゼリゼ」や「パリの屋根C」、荘厳さをただよわせる「ルーアンの聖堂」など多彩である。そして、多くの作品からは、彼の密という名が示す「しずか、ひそやか、こまやか」な画境、精神性の高さ、詩情が感じられる。
本展では、ムッシュ・ムラの愛称でパリの人々に親しまれている村山画伯の油彩、水彩など合わせて約80点を陳列した。会期中には、来日されていた村山画伯ご夫妻がほぼ毎日のように会場に臨まれ、その温厚にして誠実なお人柄に来館者の多くが感銘を受けたようである。なお、本展は開館以来の最高の入館者数を数えた。

展覧会情報

会期 2000年6月6日(火)~2000年7月16日(日)
入館料一般300円 小・中学生100円
※65歳以上の方及び障害者の方は無料
※第二、第四土曜日は小中学生無料
休館日毎週月曜
主催 渋谷区立松濤美術館 朝日新聞社
共催 NHK
協力 ANA
展覧会図録

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完売