ミネアポリス美術館はアメリカ中西部唯一の総合美術館であり、日本美術部門でも全米屈指のコレクションを誇っている。中でも浮世絵作品は、クオリティの高さで知られるリチャード・ゲールコレクションを中核に、およそ3000点の多数を収蔵している。今回は同館の全面的な協力のもと、作品の質とコンディションの観点から約250点を厳選して、浮世絵の初期から晩期までを概観する展覧会が実現した。
ミネアポリス美術館の浮世絵コレクションはこれまで公開されることが少なく、その保存状態は極めて良好であるが、今回の展覧には初公開となる作品も多く含まれており、目の肥えた浮世絵ファンをもうならせる内容となった。中でも鳥居派などの初期の作品の状態の良さは特筆すべきものであり、実に36点を数えた鈴木春信作品は世界的にも希少な作品も含んでおり、その色彩の鮮やかさはまさに圧巻であった。
展覧会の後半の見せ場は、それぞれ47点、59点の多きを数えた葛飾北斎と歌川広重の二代ビッグネームの作品群で、その多彩さは多くの観客の期待を裏切らぬものであった。中でも広重の「東海道五拾三次之内」シリーズ全作品を宿駅順に貼り込んだ二冊本は、この有名なシリーズの成立を考える際に大きな意味を持つ重要な作品であった。
本展は内容の素晴らしさが評判を呼んで多くの観客を集め、図録も多数を売り上げた。作品の保全の観点から前期後期に分けてすべての作品を展示替えしたため、二度三度と足を運ばれた方も多かったものと思われる。
展覧会情報
会期 | 2007年10月2日(火)~2007年11月25日(日) |
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入館料 | 一般300円 小・中学生100円
※60歳以上の方及び障害者の方は無料 ※毎週土曜日は小中学生無料 |
休館日 | 10月9日(火)・15日(月)・22日(月)・29日(月) 11月5日(月)・12日(月)・19日(月) |
主催 渋谷区立松濤美術館
特別協力 ミネアポリス美術館 協力 日本航空 企画協力 浅野研究所 |
展覧会図録
完売