「前衛」写真の精神: なんでもないものの変容

瀧口修造・阿部展也・大辻清司・牛腸茂雄
The Spirit of Avant-Garde Photography: Transforming “Nothing Much” TAKIGUCHI Shuzo, ABE Nobuya, OTSUJI Kiyoji, GOCHO Shigeo

2023年12月2日(土)~2024年2月4日(日)
December 2, 2023-February 4, 2024
※会期中、展示替えあり
前期:2023年12月2日(土)~2024年1月8日(月)  後期:2024年1月10日(水)~2月4日(日)

牛腸茂雄《 SELF AND OTHERS 18》1977年、ゼラチン・シルバー・プリント、新潟県立近代美術館蔵

瀧口修造「物体と写真 特にシユルレアリスムのオブジエに就て」『フォトタイムス』15巻8号、1938年8月、武蔵野美術大学 美術館・図書館蔵 

ウジェーヌ・アジェ《紳士服店、ゴブラン通り》1925年、ゼラチン・シルバー・プリント、東京都写真美術館蔵

イタリア紀行(撮影:瀧口修造)1958年、ゼラチン・シルバー・プリント、プリント:大辻清司、渋谷区立松濤美術館蔵

写真:阿部芳文(展也)「正吻のバリエーション」『あかね』創刊号、1940年6月、個人蔵

阿部展也《人間》[「新しい写真」『別冊アトリエ』34号(1957年5月)掲載図版]1953-57年頃、新潟市美術館

大辻清司《陳列窓》1956年(1980年代プリント)、ゼラチン・シルバー・プリント、渋谷区立松濤美術館蔵

大辻清司《 大辻清司実験室 〈たんなるモノ〉海水浴場で拾った大粒の砂、または小粒の砂利》1974年、ゼラチン・シルバー・プリント、武蔵野美術大学 美術館・図書館蔵

大辻清司《大辻清司実験室 なんでもない写真》1975年(1980年プリント)、ゼラチン・シルバー・プリント、武蔵野美術大学 美術館・図書館蔵

牛腸茂雄《 幼年の「時間」2》制作年不詳、ゼラチン・シルバー・プリント、新潟市美術館蔵

牛腸茂雄《 見慣れた街の中で 1》 1978-80年、ラムダプリント、新潟市美術館蔵

前衛の終わり。その一歩先へ!

美術評論家の瀧口修造たきぐちしゅうぞう(1903-79)、絵画と写真で活躍した阿部展也あべのぶや(1913-71)、そして写真家である大辻清司おおつじきよじ(1923-2001)と牛腸茂雄ごちょうしげお(1946-83)。この4人を結びつける、日本写真史における特異な系譜をご紹介します。

1930年代、海外のシュルレアリスムや抽象芸術の影響を受けて、日本各地に前衛写真が流行。東京では、瀧口や阿部を中心とする「前衛写真協会」が設立されます。技巧を凝らした新奇なイメージが珍重された前衛写真の風潮に満足しなかった瀧口は、「日常現実のふかい襞のかげに潜んでいる美」を見つめ、いたずらに技術を弄ぶべきではないと、熱狂に冷や水を浴びせかけます。しかし、太平洋戦争へと向かう時局において前衛写真が次第に弾圧の対象となっていくなか、この瀧口の指摘は一部をのぞいて十分に検討されることなく、運動は終局に向かいました。

戦後、個々人のなかに前衛写真の精神は継承され、特需景気、経済成長からその限界へとひた走る戦後の日本社会に反応し続けます。とりわけ、写真家としての出発点において瀧口と阿部に強く影響を受けた大辻と、「桑沢デザイン研究所」における大辻の教え子だった牛腸の二人は、時代に翻弄され移り変わる「日常現実」を批判的に見つめなおし、数々の名作を生み出しました。その写真には、反抗と闘争の60年代が過ぎ去った70年代、変容を遂げつつあった「前衛」の血脈が隠されています。

4人の精神があぶりだす、「なんでもないもの」のとんでもなさ。どうぞ穴の開くほど、じっくりとご覧ください。

※本展覧会の、今後の巡回はございません。

報道関係者様用→「「前衛」写真の精神:なんでもないものの変容」展プレスリリース

展覧会情報

会期 2023年12月2日(土)~2024年2月4日(日)
December 2, 2023-February 4, 2024
※会期中、展示替えあり
前期:2023年12月2日(土)~2024年1月8日(月)  後期:2024年1月10日(水)~2月4日(日)
入館料一般800円(640円)、大学生640円(510円)、
高校生・60歳以上400円(320円)、小中学生100円(80円)
※( )内は団体10名以上及び渋谷区民の入館料
※土・日曜日、祝休日は小中学生無料
※毎週金曜日は渋谷区民無料 
※障がい者及び付添の方1名は無料
※入館料のお支払いは現金のみとなっております。
休館日月曜日(ただし、1月8日は開館)、12月29日(金)~1月3日(水)、1月9日(火)
特別協力: 武蔵野美術大学 美術館・図書館
企画協力: 株式会社 アートインプレッション

*会期中、展示替えあり
*リピーター割引あり。観覧日翌日以降の本展会期中、有料の入館券の半券と引き換えに、通常料金から2割引でご入館できます。1枚の入館券につき、1回まで有効です。

イベント情報

① 記念対談 大辻先生と牛腸さんの時代

日時:1月13日(土) 午後2時~4時
登壇:潮田登久子氏(写真家)・児玉房子氏(写真家)
聞き手:木原天彦(渋谷区立松濤美術館学芸員)

定員:60名(要事前申込、応募者多数の場合は抽選)
参加料:無料(要入館料)

【イベント事前申込方法】
往復はがきまたは下記の申込フォームにて承ります。
※1通または1回のお申込みにつき1名のみ申込可。応募者多数の場合は抽選となります。

[往復はがき]
〒・住所・氏名(ふりがな)・日中連絡のつく電話番号・参加希望のイベント名をご記入の上、「記念対談 係」まで。12/15(金)必着。
[申込フォーム]
「① 記念対談 大辻先生と牛腸さんの時代」申込フォームからお申込みください。9/16(土)午前10時から12/15(金)午後11時59分まで受付します。
※迷惑メール等の受信制限をされている方は、事前に当館からのメール「@shoto-museum.jp」が受信できるようにドメイン設定をお願いします。

【追加開催】佐藤真監督『SELF AND OTHERS』上映会

【追加開催】 佐藤真監督『SELF AND OTHERS』上映会

日時:1月6日(土)午後2時~3時
上映時間:53分

定員:60名
参加料:無料(要入館料)

【イベント事前申込方法】
当日午後1時30分から整理券を配布します。定員に達し次第、配布は終了します。

② 特別講座「前衛」写真の時空間

日時:1月21日(日) 午後2時~3時
講師:木原天彦(渋谷区立松濤美術館学芸員)

定員:60名(要事前申込、応募者多数の場合は抽選)
参加料:無料(要入館料)

【イベント事前申込方法】
往復はがきまたは下記の申込フォームにて承ります。
※1通または1回のお申込みにつき1名のみ申込可。応募者多数の場合は抽選となります。

[往復はがき]
〒・住所・氏名(ふりがな)・日中連絡のつく電話番号・参加希望のイベント名をご記入の上、「特別講座 係」まで。12/22(金)必着。
[申込フォーム]
「② 特別講座「前衛」写真の時空間」申込フォームからお申込みください。9/16(土)午前10時から12/22(金)午後11時59分まで受付します。
※迷惑メール等の受信制限をされている方は、事前に当館からのメール「@shoto-museum.jp」が受信できるようにドメイン設定をお願いします。

③ 佐藤真監督『SELF AND OTHERS』上映会

日時:12月3日(日)
午前の部:午前10時30分~11時30分※締め切りました
午後の部:午後2時~3時※締め切りました
上映時間:53分

定員:各60名(引き続き先着順で募集を継続しております。定員に達し次第受付終了。)
参加料:無料(要入館料)

【イベント事前申込方法】
往復はがきまたは下記の申込フォームにて承ります。
※1通または1回のお申込みにつき1名のみ申込可。定員に達し次第受付終了。

[往復はがき]
〒・住所・氏名(ふりがな)・日中連絡のつく電話番号・参加希望のイベント名と時間帯をご記入の上、「上映会 係」まで。11月22日(水)必着。
[申込フォーム]
「③ 佐藤真監督『SELF AND OTHERS』上映会」申込フォームからお申込みください。9/16(土)午前10時から12/2(土)午後6時まで受付します。
※迷惑メール等の受信制限をされている方は、事前に当館からのメール「@shoto-museum.jp」が受信できるようにドメイン設定をお願いします。

申込受付終了④ 写真ワークショップ 渋谷に撮りたいものはあるのでしょうか?

※申し込み受付は終了しました
牛腸茂雄の暮らした渋谷の街に出て、スナップを撮影してみましょう! 撮影後は写真を見ながら、講師と共にディスカッションを行います。

日時:12月16日(土) 午後2時~5時
講師:木村和平氏(写真家)

定員:10名(要事前申込、応募者多数の場合は抽選)
参加料:無料(要入館料)
持ち物:使い慣れたデジタルカメラもしくはスマートフォン

【イベント事前申込方法】
往復はがきまたは下記の申込フォームにて承ります。
※1通または1回のお申込みにつき1名のみ申込可。応募者多数の場合は抽選となります。

[往復はがき]
〒・住所・氏名(ふりがな)・日中連絡のつく電話番号・参加希望のイベント名をご記入の上、「ワークショップ 係」まで。11/17(金)必着。
[申込フォーム]
「④ 写真ワークショップ 渋谷に撮りたいものはあるのでしょうか?」申込フォームからお申込みください。9/16(土)午前10時から11/17(金)午後11時59分まで受付します。
※迷惑メール等の受信制限をされている方は、事前に当館からのメール「@shoto-museum.jp」が受信できるようにドメイン設定をお願いします。

⑤「なんでもない」音楽̶電子音響音楽のひととき

なんでもない日常の音を使った音楽をお届けします。

私たちの生活を取り巻くさまざまな音は、変化しながら繰り返すありふれた日々を彩ります。台所で野菜を切る、駅で電車を待つ、パン屋でクロワッサンを買う、そんな毎日のなんでもない瞬間に録音した物音、声、環境音を、二人の音楽家が「音楽」へと変えてゆきます。デュオのパフォーマンスでは、展覧会の写真作品と展示室を訪れる人々が、「なんでもない」演奏の楽譜になります。

 

日時:12月17日(日) 午前の部:午前11時~12時 午後の部:午後3時~4時
企画・構成:佐藤亜矢子氏(作曲家・音楽家)
出演:佐藤亜矢子氏・渡辺愛氏(作曲家・音楽家)
会場:地下1階展示室

参加料:無料(要入館料)

*展示室で行われるコンサートです。入館された方はどなたでもお聴きいただけます。
*事前申込の必要はございません

⑥ 学芸員によるギャラリートーク

日時:12月8日(金)、1月20日(土) 各日午後2時~(約40分間)
参加料:無料(要入館料) *事前申込の必要はございません

館内建築ツアー

白井晟一設計の美術館建築を職員がご案内します。
日時:12月8日(金)、12月15日(金)、12月22日(金)、1月5日(金)、1月12日(金)、1月19日(金)、1月26日(金)、2月2日(金) 各日午後6時~(約30分間)
参加料:無料(要入館料)
*各回定員15名
*事前申込の必要はございません

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