井上有一の書と戦後グラフィックデザイン 1970s-1980s

2025年9月6日(土)~2025年11月3日(月・祝) September 6, 2025-November 3, 2025
前期:9月6日(土)~10月5日(日) 後期:10月7日(火)~11月3日(月・祝)
※会期中、一部展示替えあり

それにしてもこの数年、われわれのグラフィックや広告の周辺で奇妙な井上有一ブームが巻き起こっていた。 田中一光 1989年

脈動する毛筆、炸裂する墨液…。あまりにも強烈すぎる書の数々で知られる井上有一(1916-1985)の、没後40年を記念した展覧会を開催します。
1935年に東京・横川尋常小学校に奉職して以降、生涯を教師生活と書に捧げた井上。彼は精いっぱいの日常を生きる庶民の立場から、みずからの芸術をつくりあげようとした人物でした。1945年の3月10日、つまり今から80年前には、勤務中の小学校でアメリカ軍の爆撃を受け一時仮死状態となったのち、多くの犠牲者のなかから奇跡的に息を吹き返します。井上の「戦後」は、戦争を辛くも生き延びたひとりの人間の道行きだったのです。
そして、この井上の特異な書業と来歴に鋭く反応したのが、ほかでもないグラフィックデザイナー達でした。70年代を境に、名だたるデザイナーが井上作品を用いた印刷物に携わるようになり、80年代以降、デザインや広告を経営戦略に取り入れた、いわゆるセゾン文化のなかで井上の書が積極的に紹介されてゆきます。先に述べた井上の書のイメージは、70年代以降のデザイナーとのつながりを通じて、巧みにプロデュースされていったのです。
「戦後」が曲がり角に差し掛かるこの時期、一見奇妙な井上有一の書とグラフィックデザインの連帯は、いかにして成立したのか。そしてこの連帯が目指すものはいったい何だったのか。本展は、西武とパルコを擁する渋谷の地において、井上の書とデザインの関係を考えるものです。それは「戦後」という時代がどのように移り変わり、現在に至っているのかを振り返る確かな手がかりともなるでしょう。

報道関係者様用→プレスリリース

展覧会情報

会期 2025年9月6日(土)~2025年11月3日(月・祝) September 6, 2025-November 3, 2025
前期:9月6日(土)~10月5日(日) 後期:10月7日(火)~11月3日(月・祝)
※会期中、一部展示替えあり
入館料一般1,000円(800円)、大学生800円(640円)、高校生・60歳以上500円(400円)、小中学生100円(80円)
※( )内は団体10名以上及び渋谷区民の入館料
※土・日曜日及び祝・休日は小中学生無料
※毎週金曜日は渋谷区民無料 
※障がい者及び付添の方1名は無料
*リピーター割引あり。観覧日翌日以降の本展会期中、有料の入館券の半券と引き換えに、通常料金から2割引でご入館できます。1枚の入館券につき、1回まで有効です。
休館日月曜日(ただし9月15日、10月13日、11月3日は開館)、9月16日(火)、9月24日(水)、10月14日(火)
主催:渋谷区立松濤美術館
特別協力 一般財団法人 井上有一記念財団
※会期や開館時間、イベント等変更する場合があります。最新情報は、当館ホームページ等でご確認ください